わしの家は、近所のバス停から数百メートル離れてて、この数百メ
ートルの道路が、これがまた物騒だったりするんだな。家は密集して
いるけど、人通りがほとんどない。

この数百メートルを歩きたくないために、わしは夜の11時を過ぎたら、
バスは使わずに、最寄駅から家までタクシーで乗りつけちゃったりし
ている。

…と、自分では気をつけているつもりだったのに、今日とうとう変質者
に遭ってしまった。

時間は、夜10時くらいだったんだけど、夜道を歩いていると、後ろから
自転車が通り過ぎて行った。ブツブツ何か独り言を言ってて、アヤシ
イ奴め、と思ったけど、20メートル先くらいで右に曲がって行ったから
ホっとした。

しかし3秒後！消えたはずの曲がり角から現れて、わしに向かってき
たのだ！！

もぉ〜やめてくれよぉぉ〜。急にＵターンしても変だし、どっちに行こう
が、人っ子１人いない場所なのだ。周りは住宅街だから、火事だッ、と
叫べば、１人くらいは出てきてくれるかもしれないけど。

もうしゃーないなぁ、こっちに向かってきてるんだもの、とちょっと冷静
になりつつ、何ともないフリをして歩いて行くと、30才半ばくらいの、見
るからに気持ち悪い男が、ささやきながら通り去っていた。今度は、
わざとはっきり聞こえるように言った。

「あぁ、うんこしてぇ〜」（←ホントにこう言った。）

もう、テメェ、さっさと死んでしまえッ！…と本気で思った。その辺にバ
ットがあったら、殴りコロしてやりたいくらいだ。き〜っ、ムカツクのだ。

そのあと、ケータイで彼の家に電話した。ケータイでしゃべったら、す
ごくほっとした。すぐに家に駆け込みたいくらいだったけど、後をつけら
れてたら困るので、わしは家から少し離れたところで、しばらく外に立
っていた。アヤシイ奴は完全に家の近くにいないことを確認して家に
入ったけど、しばらく部屋の電気がつけられなかった。

×××××

ケガとかしなくてよかった。こんなんで襲われたりしたら、わしは死ん
でも死に切れないと思う。化けて出てやる。

どういうふうに育ってきたらこういう変質者になるんだ？…と思ったり
もするけど、ホントに世の中には変質者はたくさんいるし、自分に出来
る事は、こういう人間をいかに避けていくか、しかないと思う。今度時間
が出来たら、護身術を習いたい、と考えたりした。

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