わしは、恋愛に関しては、超奥手だった。周りは、小学校の低学年か
ら「なかよし」とか「りぼん」を読んで、クラスの誰々君がカッコイイ話を
していたけど、わしは5才年下の弟がいたせいか、テレビも男の子が
見る特撮とかメカものアニメばっか見ていたし、精神年齢も弟と一緒
に見えたのか、両親はわしに「幼稚だ！」を口癖のように言っていた。

ちなみに両親は、わしが小さい頃から「どーせ小さいうちに誰か好き
になっても、どうせ結婚なんかできないんだからね」をしつこいように言
った。たぶん、誰が好きだの、を言っているくらいなら、勉強しろよ、と
言いたかったんだけど、この一言は、後々までわしを縛り続けた言葉
だったと思う。

中学2年なって、周りが「明星」「平凡」とか「セブンティーン」の話題で
盛り上がっていた頃、ようやくノコノコ「りぼん」を読むようになった。こ
れで恋愛云々の刺激を受けたかはわからんけど、2年の終わり頃、突
然「きらきら〜」と思う人を発見して、ラッキーなことに、3年になったら
同じクラスで、隣の席になった。小学校時代から、親友が誰々が好き
なのぉ…を言うたび、あほかいな、なんて思ってたけど（ごめん！）、
わしも乙女チック少女、まっしぐらになってしまった。

その少年はN君って言うんだけど、別にかっこいいわけでもなく、成績
もめちゃくちゃ悪くてな…。でもなんかすごく好きだったんだな。受験生
だってのに、勉強なんかより、N君のことばかり考えていた。毎日宿題
教えたり、腕相撲やったり、日々のちょっとしたことに一喜一憂しちゃう。
思えば、彼の卒業文集の作文も、書けないっていうのでわしが書いて
しまった（←今思えば、よかれと思ってやったけど、ゴメンって感じ）。

N君は、わしと帰り道が同じ方向で、同じ自転車通学だった。わしは
いつも女友達と一緒に帰っていたけど、途中でその子と別れると、N
君がひそかに現れて、途中から一緒に帰ったりしてた。

彼は、毎週週刊少年ジャンプを本屋で立ち読みするんだけど、わしも
本屋にいたかったので、読みたくないのにジャンプを読んだりした。
…いやはや、乙女ごころは涙ぐましい。

まぁ、そんなこんなで、結局N君には、好きです、なんて言ったことなか
ったけど、楽しい1年だった。N君に、私のこと好きですか？って聞きた
かったけど聞けやしなかった。そして、高校が別れてしまってだな、卒
業式に、お互い「頑張ってね」と言ったきり、それきりになってしまった。

「どーせ小さいうちに誰か好きになっても、どうせ結婚なんかできない
んだからね」…という両親が言ってたことを素直に納得してしまい、好
きでいたって仕方がないことだものね、って思い込んだ。この頃、自分
の頭で「何か考える」ということは、わしには思い浮かばなかった。

今思い返すと、この時が、間違いなく初恋ってやつだったのだと思う。
N君は、今頃どうしているのだろう？…ちょっと気になったりもする。

PS
中学時代のお友達がもし読んでたら、こっぱずかしい文章でゴメンナスッテ。にゃはは…。第一、「君」呼びなんて
本人にはしたことなかっただよ。んにしても、思い出に浸ったりして、わしってなんておめでたい奴。

前のページに戻る