社長が寄ってきたので何の用事かと思ったら、

「あのさ、ボク、コーヒー買おうと思ってお金を入れて、君が呼びに
きたからそのままその場を離れちゃったんだけど、その後、コーヒー
はどうなったか知らない？」

「はぁ…、残念ながらコーヒーの行方までは知らない…です」

だってもう、２時間も前の話なんですけど。

「こんなご時世だから、毒物かと思って捨てられちゃったんだよ。
（ブツブツブツ…。）」

たかが１００円のコーヒーで暗い顔しないでくれ。

×××××

それを聞いていた別のお偉方がやってきて、

「自販機の下にさ、ボクちゃんのお金がいっぱい落ちてるんだよね」
「なんで自分のやつだってわかるんですか？」
「だっていっぱい落としているもん」
「あ、でも確かに、たまに自販機を移動すると、いっぱい出てくるん
ですよねェ」
「そのお金、どうしてるの？」
「そりゃもちろん、私のドリンク代に。えへへ…。」

すみませんねぇ、せこいＯＬで…。でも、落ちていたやつって、床にへ
ばり着いてて剥がすの一苦労で、埃だらけで洗うのも大変なんスよ。

拾うときは、たかが１００円でも喜んでしまうわしであった。

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